夏はシャワトレ!鈍川渓谷シャワートレッキング。
こんばんは。
一般社団法人をかしや代表理事「マロ」こと菊間 彰です。
今年は大雨が降ったり台風が来たりしてなかなか実施できませんでしたが、先日ようやくシャワートレッキングを実施できましたのでレポートしたいと思います。
今年初のお客様はN様。お父さんと小学一年生の息子さんと二人でのご参加です。
シャワートレッキングは美しい渓流をさかのぼっていく体験です。
川底には滑りやすいところと滑りにくいところがあります。
最初はわかりにくいのですが、基本的には「白く見えるところ」を踏むと滑りません。
白いところは砂、そして茶色や緑に見えるところは石についたコケで、ここを踏むと滑ります。
そんなことをレクチャーしながら、川をさかのぼって行きます。
難所では親子力を合わせ、どんどん進みます。
鈍川渓谷は基本的にそれほど水は多くないのですが、時には深い場所もあり、そういう場所ではのんびり泳ぐこともできます。
澄んだ水がほんとうに美しい。
そうかと思うと浅瀬があり、そんな場所にはカジカガエルのオタマジャクシがいたりします。それをじっと眺めたり。
川の様子は刻一刻と変わります。
時には難所も現れます。
大人でもビビっちゃうような激しい滝もあるのです!
そしてそこに挑戦するのです!!
難所を超えでガッツポーズ!!
小1のTくんも負けてはいません。
激流、難関にチャレンジです!
そして難関を超えてガッツポーズ!!!
そのようにしてどんどん進み、神秘的な場所へと歩を進めます。
ここは私たちが「主の淵(ヌシのふち)」と読んでいる場所。
淵とは周りに比べ深くなっている場所ですが、ここは川の両側にそそりたった崖があり、すごく神秘的な雰囲気がある場所です。
私たちはここの主様に祈りを捧げ、それから静かに進むようにしています。
無事に淵を超え、ゴールに向けてガンガン進みます。
この頃になると、川底の様子や川の歩き方を体で覚えているため、滑りやすい川も何の問題もなく歩けるようになっています。
子どもも大人も、初めとは別人のようにたくましくなっています。
こんな感じで2時間のシャワートレッキングは終了しました。
とても気持ちよく、清々しいい時間でした。
でもそれだけではなく、たったの2時間で、大人もこどももまるっきり別人のように動きが変わっているのです。
多分ご本人たちは気づいてないと思うのですが、全く動きが違います。
どうやら自然から学べることは、予想以上に大きいようです。
いかがでしたか?
楽しく、涼しく、気持ちよく、そして「生きる力」が知らず知らずのうちに身につくシャワートレッッキング。
この夏のオススメです!!
シャワートレッキングは、この夏あと4回実施です!!!
連載記事「ガイドはできるだけしゃべらず、体験を通じて伝えよう。」
こんにちは。
一般社団法人をかしや代表理事「マロ」こと菊間 彰です。
暑い日が続きますが、みなさま、いかがおすごしでしょうか?
先週は台風12号の襲来で、しかも東からやってくるというパターンでヒヤヒヤしましたが、今回はどこも大した被害はなく、ほっと一安心です。
異常な暑さが続きますので、熱中症にはくれぐれもお気をつけて。
そしてせっかくの夏ですので、海や川に出かけてやぜひ夏を満喫しましょう!
さて、先月より「観光Re:デザイン」という観光系のWEBサイトにて、ガイド技術、インタープリテーションに関する連載記事を書かせてもらっていることは以前お伝えしました。
連載タイトルは
「小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ 」
そして先日、新しい記事が掲載されました。今回のテーマは「まち独自の魅力のみつけかた」。
どこの地域にでもその地域「ならでは」の魅力があります。
しかし、地元であればあるほどその良さは見つけにくいものです。
そんなときにどうしたら良いか?とうことを書きました。
こちらでご覧になれますので、よろしければぜひご覧ください。
そして本ブログでは、先月の記事を掲載してみたいと思います。
連載第一回目の記事です。どうぞお楽しみください。
連載 小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ~ステップ1
まちの印象は、ガイドさんで決まります!
観光まちづくりの現場の方が実践するための「ノウハウ」と「あり方、心構え」に関する連載記事です。知識ばかりでずっとしゃべっているガイドではなく、参加者がのびのびと楽しみながら、そのまちを好きになっていくためのガイド手法をお伝えしていきます。ガイドがどうやって参加者にまちを楽しんでもらうか。そのためにやるべきことはどのようなことかについて、12ステップで解説します。
はじめに 〜目指すべきガイド像〜
みなさんこんにちは、はじめまして。愛媛県今治市を拠点に、自然やまちなみや歴史、文化などさまざまな分野のガイド活動や、ガイド養成研修を生業にしている菊間と申します。今回より12回にわたって、ガイド手法やガイドの心構えに関する記事を書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、私がお伝えするガイド法は、よくある「しゃべり倒す」ガイドではなく、大人も子どもも、自然やまちなみや文化や歴史にまったく興味のない人も楽しめる、非常に応用範囲の広い方法です。初めて聞くこと、目からウロコのことなどもあるかと思います。できるだけわかりやすく、具体例をまじえて紹介していきますので、どうぞゆるりとお付き合いください。
まちの印象は、ガイドさんで決まる!
みなさんはどこかのまちでガイドさんに案内してもらったことはありますか?
初めて訪れたまちで、気さくで優秀なガイドさんに出会えるのはとてもラッキーなことです。全然知らなかったまちの歴史や面白いエピソード、オススメの場所やおいしい食べ物など、そのまちの魅力をコンパクトに伝えてくれるでしょう。その出会いによってあなたはきっとその町のことを「好き」になるはずです。優れたガイドさんは、今まで知らなかった新しい世界の扉を開いてくれます。
では反対に、こんな経験はないでしょうか? あるまちに行って、ガイドさんをお願いしたとします。
そのガイドさんはとても詳しくなんでも知っています。そしてまちの歴史やまちゆかりの偉人のことなどを、こと細かに立板に水のごとく話し続けます。細かい年号や人物の名前がポンポン飛び出しますが、そのまちに初めて来たあなたにはまったくなんのことだかわかりません。
おまけにちっとも面白くないのですが、なかなかそうも言えず「はあそうですか・・・。」などと相槌を打つのが精いっぱい。そしてあふれる情報でお腹いっぱい、何も記憶に残りません。ガイドはあなたの気持ちなどおかまいナシで、いつまでも気持ちよさそうにしゃべり続けています。参加者は辟易して曲がり角を曲がるたびに一人減り、二人減り、最後にはほとんど誰もいなくなっています。しかし、ガイドは参加者の様子など気にとめる様子もなく、ひたすらしゃべり続け・・・。
これは、観光地で実によくある光景です。「ガイドあるある」といっても良いでしょう。ガイド自身が「知識が命」「伝えなければならない」と思い込んでしまうとついついしゃべりすぎてしまうのです。しかし、参加したみなさんはどのように感じるでしょうか? まちを訪れる多くの人は、お勉強をしに来ているわけではありません。それなのに知識や情報を押し付けられたら、おそらくうんざりしてしまうことでしょう。
場合によっては、そのまちのことを嫌いになってしまい「二度と来るもんか!」と思ってしまうかもしれません。
このように、ガイドの質によってまちの印象はガラリとかわってしまいます。そしてこれは観光にかかわる上でとても大切なことです。お客さんがそのまちを好きになるのも嫌いになるのもガイド次第、というわけです。であれば、お客さんも自分もハッピーになる、そんなガイドを目指しましょう。そしてお客さんがまちのファンになり、リピーターになってくれることでまちも潤う。本連載では、そんな好循環を生み出せるようなガイド術をお伝えしていこうと思います。
雰囲気の良いガイドを目指しましょう!
できるだけしゃべらず、「体験」を通じて伝えよう
では具体的にはどのようなガイドになれば良いのでしょうか? 何をどのように伝えていけば良いのでしょうか? それには二つの大事なポイントがあります。
1.できるだけしゃべらない 〜「盛る」のではなく「削ぐ」ことを考える〜
ガイドというと、とにかくなんでも知っていて、聞けば全て答えてくれる人、というイメージがあるかもしれません。しかしほんとうは、全てを知らなくても優れたガイドになることはできるのです。もちろん知っているに越したことはありませんが、それよりもっと大事なことがあります。それは「できるだけしゃべらない」ということです。
「しゃべる」という行為は、実はお客さんが自由に見たり、聞いたり、感じたりする時間を奪うことです。これはとても重要なことなので覚えておいてください。ガイドがしゃべっている間は、お客さんが主体ではなくガイドが主体になってしまいます。だからガイドがしゃべる内容は、お客さんの時間を奪ってでも伝えなければならないことに限るべきです。そしてそれほどまでに重要なことはさほど多くはないはずです。
少なくとも人物の名前や年号や、植物や地質の名前などに、そこまで価値があるとは思えません。
以上の理由から、ガイドが伝える内容は、徹底的に削ぎ落とす必要があります。そのまちやその場所、その時「ならでは」の、かつ本質的な内容のみに絞り込むべきです。とかくガイドは多くのことを伝えたがりますが、それは逆効果です。多すぎる情報は、決して伝わることはありません。「盛るのではなく、削ぐ」。これが、良いガイドになるための第一のポイントです。
2.「体験」を通じて伝える
もう一点は、そうして絞り込んだ情報をただしゃべるのではなく「体験」を通じて伝える、ということです。参加者自身が見たり、聞いたり、触ったり、感じたりして、自らの体験を通じて理解する、そういうガイド手法を用いるのです。現段階では意味がよくわからないかもしれませんが、今はそれでかまいません。一般的にガイドさんは知識を重視しがちですが、積みあげた知識や情報がまったく通用しないパターンも存在します。
例えばまちなみや自然や歴史にまったく興味のない人や、子どもグループや親子連れがお客さんの場合です。こういった場合は、知識ではなく誰もが楽しめる「楽しい体験」や「素敵な時間」を提供することが大切です。そしてまちなみや自然や歴史の魅力を、体験を通じて楽しく伝えるには、知識だけではない専門的な「伝え方」を身に付ける必要があります。これが第二のポイントです。
体験の一例、空の広さを感じるために、参加者自身が寝ころがって空を見上げています
武蔵と小次郎 〜「知識」という名の大剣を振りかざすのではなく、「知識」と「伝え方」の二刀流でいこう
佐々木小次郎(左)と宮本武蔵(右) ©下関市観光政策課
最後に、これから私たちが目指すガイド像についての例え話をしましょう。私が研修でよく使う話に「武蔵と小次郎」があります。みなさんは、かつて巌流島で戦った二人の剣豪「宮本武蔵」と「佐々木小次郎」をご存知でしょうか? 宮本武蔵は「二天一流」という流派で二本の刀を使います。いわゆる二刀流です。それに対し佐々木小次郎は「巌流(がんりゅう)」という流派で、1mにも及ぶ長大な剣を使って戦ったといわれています(諸説あり)。
これをガイドに置き換えてみましょう。従来の知識伝達型のガイドさんは「佐々木小次郎」です。積み上げた知識や情報という一本の大きな刀を使います。しかしこれでは、先に挙げたような状況に対応できません。どんなに積み上げ研ぎ上げた知識という名の「大剣」をもってしても、興味のない人や子ども達には通用しないのです。
これに対して私たちが目指すのは「宮本武蔵」です。「知識」という刀に加え、体験を通じて伝える「伝え方」というもう一振りの刀を使い、どんな人にもその場所の魅力を伝えていきます。二刀流で戦うことでどんなお客さんが来ても満足してもらうことができるのです。この場合「知識」は相手のニーズと必要性に応じて小出しにする「引き出し」であり、知識を全面に出すことはありません。そのためガイドも「全てを知らなければいけない、伝えなければいけない」というプレッシャーから解放されることになります。
ただし、体験を通じて伝える手法は、知識を積み重ねる今までのやり方の延長線上にはありません。これから学ぶことは、今まで振ったことのない新しい刀の振り方を覚えることにほかならないのです。それは多くの人にとって初めてのことで、時に難しく感じることもあるかもしれません。しかし、もしその刀を上手に振ることができるようになれば、興味のない人が来ても、子どもが来ても、親子連れのグループの中にカップルがいても恐れる必要はありません。どんな相手にも満足していただける、まさに「天下無双」のガイドになれることでしょう。
そんなガイドを目指して、これから一年間一緒に学んでいきましょう。