しまなみ海道にて、貸切釣りガイドツアー。
こんばんは。
一般社団法人をかしや代表理事「マロ」こと菊間 彰です。
昨日は貸切釣りガイドツアーでした。
をかしやは、普段は釣りのプログラムはやっていないのですが、オーダーがあればいつでも承っています。
去年の夏休みも二件ほど釣りガイドをしました。
あまり知られていないのですが、私たちをかしやは釣りだけではなく、オーダーしていただければほとんどなんでもやるのです。
さて、今回の釣りガイドのお客様は9年来の友人である「ガビーさん」ご一家。
をかしやは2009年から2011年にかけて三年間、「いまばり湯ノ浦ハイツ」というホテルで夏休みの自然体験プログラムを実施していました。その最初の年、2009年のプログラムに参加してくださったのがガビーさんご一家で、それ以来のお付き合いになります。
その時の記事はこちら。
このブログ記事の中でガビーさんに抱っこされて蜘蛛の巣をくぐっているのが、今は高校2年生になった長男のショーゴ君。うーん、時の経つのは早いものです。
ガビーさんと小さいショーゴくん
ガビーさんご一家は関東在住なのですが、毎年毎年30年以上も夏休みに今治に遊びに来られています。
小学生の頃から毎年来ているので、今治の自然やその変化にもすごく詳しいです。特に趣味であるクワガタの生態に関してはすごいものがあり、ブログで情報発信もしてくださっています。
そしてガビーさんご一家はとても素敵なご家族で、以前お父様にこんなお話を伺ったことがあります。
「世の中には、休みには外国に行ったりする方もいらっしゃるけど、ここに毎年来て、一週間くらい滞在して、のんびりして夕方にテニスする。そういうのが私たちにとって最高の贅沢なんです。」
なんて優雅な時間の過ごし方。大人です。欧米人の休暇みたいです。
その時の記事がこちら。ガビーさんとの衝撃の出会いの様子も綴ってあります!
2010年の写真。うーむ、二人とも若い!!
さて、そんなお馴染みのガビーさんご一家を釣りにご案内しました。
去年に引き続いてのご用命です。
夏のしまなみエリアは暑すぎて条件的にキビシイ場合も多いのですが、一週間ほど前に予備調査を行い、一番良いと思われるとある島に釣り場を決定しました。
その時のこと。いろんな場所や仕掛けを試したのですが、その一環としてサビキ釣りで釣れた小魚を生き餌にして放り込んでおきました。
運とタイミングが良ければ大物がかかることがあるのです。
そしてその時がやって来ました!竿につけてあった鈴がリンリンなり、竿先が強烈に引き込まれます!!
「よっしゃー!」と竿をとり、やり取り開始です。強烈な引きで、糸がどんどん引き出されていきます。
こういう時には無理にあげようとせず、ある程度魚を走らせて弱らせるのがコツです。
しかしいくら時間が経ってもこの魚は一向に弱った気配を見せません。
少しづつ糸を巻いてもすぐに引き出され、一進一退の攻防が続きます。
私の釣り人生の中でも、間違いなく最大級の大物です。タイか、ヒラメか、青物か。
期待に胸が膨らみます。
そしてファイト開始から30分がたち、ようやく魚が浮いて来ました。
白い巨大な魚体が見えます!
「でかい!タイか!!」
少しづつ寄せて来て、いよいよ魚の姿があらわになります。
でかい!1メートルくらいあります。
そして、その姿は座布団のよう!
「ヒラメか!」
・・・・しかし、どうも様子が違います。
なんかひらひらしてる・・・。
そして形が普通の魚っぽくない。広い。
・・・その正体はこいつでした。
「エイかよ!!!」
この時のがっかり感ときたらありません。
エイやサメなどの軟骨魚類は食べられないこともありませんが、アンモニア臭があり、美味しくないのです、、、。
第一重すぎであげられないし・・・。
結局そのままリリースし、海にお帰りいただきました。
渡船の都合で2時間しかいられないのに、巨大エイに30分も取られてしまった、、、。
無念。
とまあ、下見でこんなこともあったのですが、気を取り直して本番です。
今日は大物が釣れることを信じて。自然豊かなしまなみに来たからには、ぜひ大物を釣っていただきたい。
港から船に乗り、みんなで島を目指します。
船からはしまなみ海道がよく見えます。
いつ見てもしまなみは美しい。
そしていよいよ島に上陸。釣り場である波止(防波堤)へ急ぎます。
波止についたら釣り開始!
しまなみを眺めながらの釣りはロケーションもよく、気分最高です。
しまなみの海は潮がとても早く、刻一刻と変化します。
潮の流れや動きが見る見るうちに変わっていくのです。
そして魚たちの動きも潮によって変わります。
この日の潮は若潮。
釣り初めから2時間ほどで干潮を迎え、午後はどんどん潮が満ちてくるパターン。
どのタイミングで釣れるかは、やって見なければわかりません。
最初はあまり釣れなかったのですが、1時間した頃からポツポツと釣れ始めました。
干潮に近づいて潮が動かなくなってから釣れるパターンです。
この釣り場には、どこにでも群れているスズメダイはあまり多くなく、メバルがとても多い。
そのほかにもアジやベラの仲間、ホゴ(カサゴ)やグレ(メジナ)なんかもポツポツ釣れます。
その釣れたアジを餌にしてやはり投げ込んで見ることにしました。
大物はくるでしょうか?
しばらくしてまたその時はやって来ました。
ガビーさんの竿が海に引き込まれそうになっています!
「キター!!!」
私は竿に猛然とダッシュし、なんとか海に落ちる前に確保することができました。
態勢を整えてガビーさんに渡します。そしてファイト開始!
ガビーさんの竿から糸が勢いよく引き出されています。
こういう時は竿を立て、竿の弾力を使って魚の引きを吸収します。
竿をのされて(倒されて)糸が一直線になったらすぐに糸は切れてしまうのです。
ドラグ(糸出し装置)は、魚が強く引いた時にジリジリと出るくらいにしておいて、魚をしばらく走らせます。
そして引きが弱まった時に竿をじわーっと持ち上げ、竿を下げながらその分を巻き取ります。
これをポンピングと言います。釣りの基本的な技術の一つです。
※ただし、ポンピングには釣り糸のテンションが変化するのでバレやすい(はずれやすい)という弱点もあるようです。なので釣り具も釣り糸も進化している現代では竿を一定の角度で保ち、魚の引きが弱った時だけ巻くという「クレーン巻き」という方法が主流になっている模様。
ガビーさんにそんなことをお伝えしながらやり取りを見守ります。
糸がジージーと音を立てて出ていきます。かなりの大物!
その後しばらくやりとりしたのですが、、、残念ながらバレて(はずれて)しまいました。
あの魚はなんだったんだろう?
かなりの引きでした。
そうこうしていると、私の竿も大きなアタリが!!
すぐに竿を取りファイト開始。
それほど大きくはないのですが、ゴンゴンとよく首を振ります。
「タイか?」
期待に胸踊ります。
やりとししつつ順調に糸をまき魚を寄せます
そして魚体が見えました!
「白い、タイか!?」
しかし、またなんか違う・・・。
なんかくねくねしてるし。
さらに糸を巻いて、タモ網を使って無事ランディング。
その魚がこいつでした。
「サメかよ!!!」
「また軟骨魚類かよ!」
もう笑うしかないですね・・・。サメも笑ってるよ・・・。
もちろん、この後サメさんには海におかえりいただきました。
※この写真だと小さく見えますが、このサメ60㎝以上あります。
これに前後してもう一回かかったのですが、残念ながらそれもバレてしまいました。
バレてはしまったものの、3連発での、大物の到来に興奮しっぱなし!!
しまなみの海には大物とロマンがいっぱいです!!
その後も適宜休憩をしながら釣りを続けました。
午後からは潮が満ちて来て、目の前の海が次第に川のような流れになっていきます。
潮のタイミングによって、さっきまで全く釣れなかったのが急に釣れ出したり、また釣れなくなったりします。
海は不思議です。
結局船の時間である16時まで釣りをして、この島を後にしました。
魚は釣れたり釣れなかったりを繰り返しつつも、30数匹を上げることができました。
最後に、港でみんなで記念写真を取りました。
日差しがめちゃ眩しくて、みな険しい顔になっております。
ちなみに一番背が高い黒い服の人は、高校二年生になったショーゴ君です。
このようにして、しまなみのアツい1日は終了しました。
昔からの友人を、このようにご案内できるのはガイド冥利につきます。
ガビーさん、お父さん、ショーゴ君、カンタ君、ありがとうございました。
またぜひ、一緒に釣りに行きましょう!
以上貸切釣りガイドツアーのレポートでした。
皆さんもいかがですか?
連載記事「ガイドはできるだけしゃべらず、体験を通じて伝えよう。」
こんにちは。
一般社団法人をかしや代表理事「マロ」こと菊間 彰です。
暑い日が続きますが、みなさま、いかがおすごしでしょうか?
先週は台風12号の襲来で、しかも東からやってくるというパターンでヒヤヒヤしましたが、今回はどこも大した被害はなく、ほっと一安心です。
異常な暑さが続きますので、熱中症にはくれぐれもお気をつけて。
そしてせっかくの夏ですので、海や川に出かけてやぜひ夏を満喫しましょう!
さて、先月より「観光Re:デザイン」という観光系のWEBサイトにて、ガイド技術、インタープリテーションに関する連載記事を書かせてもらっていることは以前お伝えしました。
連載タイトルは
「小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ 」
そして先日、新しい記事が掲載されました。今回のテーマは「まち独自の魅力のみつけかた」。
どこの地域にでもその地域「ならでは」の魅力があります。
しかし、地元であればあるほどその良さは見つけにくいものです。
そんなときにどうしたら良いか?とうことを書きました。
こちらでご覧になれますので、よろしければぜひご覧ください。
そして本ブログでは、先月の記事を掲載してみたいと思います。
連載第一回目の記事です。どうぞお楽しみください。
連載 小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ~ステップ1
まちの印象は、ガイドさんで決まります!
観光まちづくりの現場の方が実践するための「ノウハウ」と「あり方、心構え」に関する連載記事です。知識ばかりでずっとしゃべっているガイドではなく、参加者がのびのびと楽しみながら、そのまちを好きになっていくためのガイド手法をお伝えしていきます。ガイドがどうやって参加者にまちを楽しんでもらうか。そのためにやるべきことはどのようなことかについて、12ステップで解説します。
はじめに 〜目指すべきガイド像〜
みなさんこんにちは、はじめまして。愛媛県今治市を拠点に、自然やまちなみや歴史、文化などさまざまな分野のガイド活動や、ガイド養成研修を生業にしている菊間と申します。今回より12回にわたって、ガイド手法やガイドの心構えに関する記事を書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、私がお伝えするガイド法は、よくある「しゃべり倒す」ガイドではなく、大人も子どもも、自然やまちなみや文化や歴史にまったく興味のない人も楽しめる、非常に応用範囲の広い方法です。初めて聞くこと、目からウロコのことなどもあるかと思います。できるだけわかりやすく、具体例をまじえて紹介していきますので、どうぞゆるりとお付き合いください。
まちの印象は、ガイドさんで決まる!
みなさんはどこかのまちでガイドさんに案内してもらったことはありますか?
初めて訪れたまちで、気さくで優秀なガイドさんに出会えるのはとてもラッキーなことです。全然知らなかったまちの歴史や面白いエピソード、オススメの場所やおいしい食べ物など、そのまちの魅力をコンパクトに伝えてくれるでしょう。その出会いによってあなたはきっとその町のことを「好き」になるはずです。優れたガイドさんは、今まで知らなかった新しい世界の扉を開いてくれます。
では反対に、こんな経験はないでしょうか? あるまちに行って、ガイドさんをお願いしたとします。
そのガイドさんはとても詳しくなんでも知っています。そしてまちの歴史やまちゆかりの偉人のことなどを、こと細かに立板に水のごとく話し続けます。細かい年号や人物の名前がポンポン飛び出しますが、そのまちに初めて来たあなたにはまったくなんのことだかわかりません。
おまけにちっとも面白くないのですが、なかなかそうも言えず「はあそうですか・・・。」などと相槌を打つのが精いっぱい。そしてあふれる情報でお腹いっぱい、何も記憶に残りません。ガイドはあなたの気持ちなどおかまいナシで、いつまでも気持ちよさそうにしゃべり続けています。参加者は辟易して曲がり角を曲がるたびに一人減り、二人減り、最後にはほとんど誰もいなくなっています。しかし、ガイドは参加者の様子など気にとめる様子もなく、ひたすらしゃべり続け・・・。
これは、観光地で実によくある光景です。「ガイドあるある」といっても良いでしょう。ガイド自身が「知識が命」「伝えなければならない」と思い込んでしまうとついついしゃべりすぎてしまうのです。しかし、参加したみなさんはどのように感じるでしょうか? まちを訪れる多くの人は、お勉強をしに来ているわけではありません。それなのに知識や情報を押し付けられたら、おそらくうんざりしてしまうことでしょう。
場合によっては、そのまちのことを嫌いになってしまい「二度と来るもんか!」と思ってしまうかもしれません。
このように、ガイドの質によってまちの印象はガラリとかわってしまいます。そしてこれは観光にかかわる上でとても大切なことです。お客さんがそのまちを好きになるのも嫌いになるのもガイド次第、というわけです。であれば、お客さんも自分もハッピーになる、そんなガイドを目指しましょう。そしてお客さんがまちのファンになり、リピーターになってくれることでまちも潤う。本連載では、そんな好循環を生み出せるようなガイド術をお伝えしていこうと思います。
雰囲気の良いガイドを目指しましょう!
できるだけしゃべらず、「体験」を通じて伝えよう
では具体的にはどのようなガイドになれば良いのでしょうか? 何をどのように伝えていけば良いのでしょうか? それには二つの大事なポイントがあります。
1.できるだけしゃべらない 〜「盛る」のではなく「削ぐ」ことを考える〜
ガイドというと、とにかくなんでも知っていて、聞けば全て答えてくれる人、というイメージがあるかもしれません。しかしほんとうは、全てを知らなくても優れたガイドになることはできるのです。もちろん知っているに越したことはありませんが、それよりもっと大事なことがあります。それは「できるだけしゃべらない」ということです。
「しゃべる」という行為は、実はお客さんが自由に見たり、聞いたり、感じたりする時間を奪うことです。これはとても重要なことなので覚えておいてください。ガイドがしゃべっている間は、お客さんが主体ではなくガイドが主体になってしまいます。だからガイドがしゃべる内容は、お客さんの時間を奪ってでも伝えなければならないことに限るべきです。そしてそれほどまでに重要なことはさほど多くはないはずです。
少なくとも人物の名前や年号や、植物や地質の名前などに、そこまで価値があるとは思えません。
以上の理由から、ガイドが伝える内容は、徹底的に削ぎ落とす必要があります。そのまちやその場所、その時「ならでは」の、かつ本質的な内容のみに絞り込むべきです。とかくガイドは多くのことを伝えたがりますが、それは逆効果です。多すぎる情報は、決して伝わることはありません。「盛るのではなく、削ぐ」。これが、良いガイドになるための第一のポイントです。
2.「体験」を通じて伝える
もう一点は、そうして絞り込んだ情報をただしゃべるのではなく「体験」を通じて伝える、ということです。参加者自身が見たり、聞いたり、触ったり、感じたりして、自らの体験を通じて理解する、そういうガイド手法を用いるのです。現段階では意味がよくわからないかもしれませんが、今はそれでかまいません。一般的にガイドさんは知識を重視しがちですが、積みあげた知識や情報がまったく通用しないパターンも存在します。
例えばまちなみや自然や歴史にまったく興味のない人や、子どもグループや親子連れがお客さんの場合です。こういった場合は、知識ではなく誰もが楽しめる「楽しい体験」や「素敵な時間」を提供することが大切です。そしてまちなみや自然や歴史の魅力を、体験を通じて楽しく伝えるには、知識だけではない専門的な「伝え方」を身に付ける必要があります。これが第二のポイントです。
体験の一例、空の広さを感じるために、参加者自身が寝ころがって空を見上げています
武蔵と小次郎 〜「知識」という名の大剣を振りかざすのではなく、「知識」と「伝え方」の二刀流でいこう
佐々木小次郎(左)と宮本武蔵(右) ©下関市観光政策課
最後に、これから私たちが目指すガイド像についての例え話をしましょう。私が研修でよく使う話に「武蔵と小次郎」があります。みなさんは、かつて巌流島で戦った二人の剣豪「宮本武蔵」と「佐々木小次郎」をご存知でしょうか? 宮本武蔵は「二天一流」という流派で二本の刀を使います。いわゆる二刀流です。それに対し佐々木小次郎は「巌流(がんりゅう)」という流派で、1mにも及ぶ長大な剣を使って戦ったといわれています(諸説あり)。
これをガイドに置き換えてみましょう。従来の知識伝達型のガイドさんは「佐々木小次郎」です。積み上げた知識や情報という一本の大きな刀を使います。しかしこれでは、先に挙げたような状況に対応できません。どんなに積み上げ研ぎ上げた知識という名の「大剣」をもってしても、興味のない人や子ども達には通用しないのです。
これに対して私たちが目指すのは「宮本武蔵」です。「知識」という刀に加え、体験を通じて伝える「伝え方」というもう一振りの刀を使い、どんな人にもその場所の魅力を伝えていきます。二刀流で戦うことでどんなお客さんが来ても満足してもらうことができるのです。この場合「知識」は相手のニーズと必要性に応じて小出しにする「引き出し」であり、知識を全面に出すことはありません。そのためガイドも「全てを知らなければいけない、伝えなければいけない」というプレッシャーから解放されることになります。
ただし、体験を通じて伝える手法は、知識を積み重ねる今までのやり方の延長線上にはありません。これから学ぶことは、今まで振ったことのない新しい刀の振り方を覚えることにほかならないのです。それは多くの人にとって初めてのことで、時に難しく感じることもあるかもしれません。しかし、もしその刀を上手に振ることができるようになれば、興味のない人が来ても、子どもが来ても、親子連れのグループの中にカップルがいても恐れる必要はありません。どんな相手にも満足していただける、まさに「天下無双」のガイドになれることでしょう。
そんなガイドを目指して、これから一年間一緒に学んでいきましょう。